僭越ながら【1テーマの本を30冊読んで勉強するブログ】

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トラウマから解放されて生きる。ETV特集「トラウマからの解放」備忘録

先日、ETV特集「トラウマからの解放」を観ました。
この番組は反響がかなり大きくアンコール放送だったようです。

頭痛や不眠症、鬱など、病院を点々としたり、色んな薬を使っても治らない原因不明の症状。
実は、自分でも忘れているような、過去の出来事(トラウマ)が原因だった...ということがあるようです。
忘れがたいトラウマで生きる気持ちを失ってしまった方もいます。

しかし、現在、そのトラウマから解放できる治療法が確立されたそうです。
その治療によって、人生が変わった方がいます。

この情報を知って助かる人が、世の中にたくさんいるのではないかと思いました。

番組を観られなかった人の為に、備忘録を残します。
NHK【ETV特集】トラウマからの解放 2013年9/14(土)夜11時、再放送:2013年9/21(土)午前0時45分(金曜深夜)、再放送:2013年10月5日(土)夜11時、再放送:2013年10月12日(土)午前0時45分(金曜深夜)

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不可解な症状、トラウマ。

日常生活でうまれる。
心と体に症状が出る。
昔、戦争に出た兵隊に原因不明の不調が生じ、そこで注目されたトラウマ。


現在、トラウマを解消する画期的な治療法がある。
その治療によってトラウマから解放された人がたくさんいる。


海外では、虐待のトラウマから薬物依存や問題行動に走ると報告されている。
子供時代のトラウマは、人生に悪影響を与える。
どうすればトラウマから開放される?

トラウマ治療

幼い娘を失った方。
通勤途中、色々なものが見えてしまう。
幸せな家族、親子。
自分はどうせ終わった人生だ。
何の為に生きるんだ。
死ねば娘のところに行ける。
何度も思った。
不眠症、仕事に行けない。


PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断される。
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  • 辛い記憶が鮮明に蘇る「再体験」
  • 記憶に繋がることを避ける「回避」
  • 不眠、イライラ等「過覚醒」
  • 自分を責める「否定的な認知と気分」

心的外傷後ストレス障害 - Wikipedia


残された家族と生きていく為に、トラウマを治療しようと決心する。
犯罪被害者の遺族が、どれだけ苦しんでいるかを世間に知らせたく、実名で取材に応じた。(事件


トラウマ治療法

EMDRというトラウマ治療法。
EMDR - Wikipedia

PTSDを始めとして、パニック障害、恐怖症、解離性障害などへの適用も報告されている心理療法。
国際トラウマティック・ストレス学会は、2000年にEMDRを有効なトラウマ治療法として認定。
左右に振られるセラピストの指を目で追いながら、過去の体験を想起するという手続きを用いる。

眼球運動をさせることで、患者の脳に刺激を与える。
専用の機械もある。
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NeuroTek EMDR Shop

眼球に刺激を与えながらカウンセリングすると、トラウマ体験に伴う強い苦痛が弱まっていく。
過去の色々な出来事が全く別のものに改変されるのではない。
自分を責め続けているものがタイムカプセルのようにとどまっている。それを解放する。


実際の治療

苦痛の過去を呼び起こさせ、深呼吸してもらう。


娘が最後に角を曲がる場面を思い出す。最後にみた姿。
犯人の潜むトイレへ送り出してしまった場面。
あの時、娘を呼び止めれば良かった。
そうしたら時間がずれて、何も起こらなかった。


この記憶を呼び起こした状態で、眼球を左右に動かす刺激を与えながらカウンセリングを続ける。

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娘の姿。
娘は笑っていた。
ひとりでトイレに行けるようになったのが、嬉しそうだった。
振り向いている顔が笑っているような気がする。


思い浮かべることさえ苦痛だった場面も、娘の笑顔と共に思い起こせるようになった。

不眠症が治った。
仕事にも休まずに行けるようになった。
考え方を変えれるようになった。
今までは、自分を責めるだけだった。
違う方向に考える道を作ってもらえた。

トラウマ研究のはじまり

ベトナム戦争から帰還した兵士がトラウマをかかえていた。
社会に適応できない。
ベトナム帰還兵は目立つ存在だったから注目された。
しかし、家庭内暴力やレイプなどでトラウマを抱えている人は注目されていなかった。
多くの人を苦しめているのは日常生活で生じるトラウマだった。

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ヴァン・ダー・コーク van der Kolk
ボストン大学医学校の精神医学教授。
半世紀近くにわたり 世界のトラウマ研究を牽引。
Bessel van der Kolk - Wikipedia


サバイバル脳

トラウマ体験を思い出したとき、脳は危険を感じる。
身を守ろうとするサバイバル脳と呼ばれる状態になる。
理性的に考えられなくなる。

思考力が低下する。

心と体に悪影響をきたす。


トラウマは原因不明の不調。
原因がわからないから問題行動に走ってしまう。
拒食症、自傷行為、薬物依存など。


PSTDと診断されると、鬱、双極性障害、薬物依存等の治療が始まる。
この問題にトラウマが関係する。

EMDR

EMDR考案者は20年前、眼球を左右に動かしながらトラウマを思い出すと、トラウマが和らぐ事を発見した。
記憶に保存された長さとは関係なく治まることがわかった。
脳の興奮が治まり、脳が正常になる。
アメリカにはEMDR専門医が4000人いる。
日本には400人しかいない。
日本では受診の機会が少ない。
WHOはEMDR治療を今年から推進し始めた。


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フランシーン・シャピロ Francine Shapiro
心理学者、EMDRの考案者。
Francine Shapiro - Wikipedia

トラウマは見過ごされる事が多い

様々な病と結びつけられるトラウマ。
しかし、見過ごされる事が多い。
表面に現れないから。
頭痛、不眠、鬱など表面に表れる症状を緩和するだけでは駄目。
心に潜むトラウマを突き止め、治療することが重要。

トラウマ治療で人生が変わった方

トラウマを解消することで人生が変わった人がいる。


激しい頭痛。
病院を点々としたが、ダメ。
薬が効かない。
精神科へ。
抗うつの治療を5年。
症状悪化。
仕事にもいけなくなった。
死のうとしか考えてなかった。
鬱病の治療に行き詰まり、健康保険の効かないトラウマの治療を始めた。


本人が意識していなかった幼少時代の記憶が蘇った。
親から包丁をつきつけられた。
日常茶飯事だった。
繰り返し暴力を受けた。
父親の機嫌を損ねないように、顔色を伺っていた。
社会に出ても周囲の人の顔色を伺うようになった。


過去が過去と思えない。
今と過去がごちゃまぜになっている。
「昔、あんなことがあったよね」じゃない。
今でも怯えている。


しかし、その記憶(父親の暴力)に対してトラウマ治療をしても改善しなかった。
他のトラウマがあるのでは?とカウンセリングを進める。


小学生の時に飼い始めたネコ。
そのネコは唯一甘えられる存在だった。
ひたすら自分と一緒にいてくれたネコ。
家族と思えるのはそのネコだけだった。
ある日、父親がそのネコを捨てると言った。
酷く動揺した。
でも、父親が怖くて、「辞めて」と言えなかった。
ネコの名前はコタロー。
コタローを助けられなかった。
自分をずっと責めていた。


コタローをめぐる出来事こそが最大のトラウマかもしれない、と専門医は指摘。
コタローが捨てられた事には責任はないと、EMDR治療をしながら納得させる。


あなたの友達が同じ状況になったらどう思うか考えてみて。
コタローが捨てられたのは、その友達のせい?
「そう思わない」
その友達に何て言ってあげる?
「何も悪いことしてないよ。」
「そのネコはあなたのことを悪いと思ってないよ。」
「あなたとネコちゃんには、楽しい想い出がいっぱいある」
「ネコちゃんは楽しかったと思ってるよ」


このカウンセリングで、ネコのことに対する自分を許せるようになった。
区切りをつけられた。
過去にこだわらなくなった。
今を見るようになった。
1ヶ月後、頭痛から解放された。


一生付き合っていくと思っていた頭痛。
3、4ヶ月の治療で終わるとは思っていなかった。
トラウマが消えた事で、父親の顔色をうかがっている自分ともさよならできた。
私自身が楽な生き方を、今出来ている。
今が一番楽。

子供のトラウマ

子供へのトラウマ治療の重要性を説く、アメリカ。
虐待、育児放棄など。


子供のトラウマはその子の一生を左右する。
子供のうちに治療することの重要性を指摘。


両親に愛されていないと感じたトラウマ。
愛されていないと思った記憶をEMDRで思い起こさせる。

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両親からの虐待により、現在は里親の元で暮らしている少年。
頻繁に嘘をつき、里親の財布から金を盗むなどの問題行動。
誰からも守られていないという不安感が植え付けられている。


父親に戸口に叩き付けられ、家族は誰も守ってくれなかった。

今は安全な場所にいる。
両膝を交互にトントンとたたく刺激を与えながら、里親に抱かれた状態で、一緒にその苦しい記憶を思い起こさせる。

今は大事にされていると思えるようになった。


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子供時代のトラウマが見過ごされると、どうなるか。
他人は信用できないから、自分がほしい物を手に入れるには戦うしかないと感じてしまう。
大人になって深刻な症状を起こす。
日本はそれに気づけていない。

トラウマ治療で人生が変わった方

男性の声で気分が悪くなる症状を持つ女性、ユキさん。
仕事にも支障を来すように。
4年以上も悩み、鬱と診断される。
カウンセリングで、原因となる過去の記憶を探る。

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ユキさんには解離の症状がある。
解離性同一性障害 - Wikipedia

かつては多重人格障害と呼ばれていた。(中略)切り離した感情や記憶が成長して、別の人格となって表に現れるものである。


架空の人物を作り上げ、トラウマをその人物に託してしまう。


4歳のユキちゃんという人物。
現在のユキさんではない。
トラウマをかかえているのは4歳のユキちゃん。


4歳のユキちゃんは、親戚のおっちゃんが大声で怒鳴ってるから逃げられないと言う。
心理士は4歳のユキちゃんに、大きな声のおっちゃんから逃げられることを伝える。


手も動くよ。
足も動くよ。
逃げられるよ。


眼球運動をさせながら、逃げられるということを理解させる。


イヤだって言ってもいいんだよ。


4歳のユキちゃんは大きな声のおっちゃんから逃げられる事を理解した。

男性の大きな声が大丈夫になった。


しかし、別の症状が現れた。
夜中、寝ている時に大きな声で叫ぶ症状。


別のトラウマがあるのでは?
私の色々を邪魔していると思う記憶は何?と聞いてみる。
すると、別の人格が現れた。
ユキさんの中の未知の人物に問いかける。
こんな気持ちを持ってるよって話してくれる人はいるかな?


すると、複数の人物が現れた。


6人の人物。
トラウマの記憶を分担している。
どの人物が一番、いとこからの性的被害の記憶を話せるか?

小学生のユキちゃんが喋ってくれた。


小学生のユキちゃんは喫茶店のトイレでいとこに下着を奪われ、
自分が下着をはいていないことをトラウマにしている。


心理士は、小学生のユキちゃんに下着をはくようにすすめる。


「はけた」


パンツをはいて安心した状態で、眼球運動をさせる。


現在のユキさんが喫茶店の記憶を思い出せるようになった。

記憶が軽くなった。


大人の視点でその場面を見れるようになった。
受け止められるようになった。


ちっちゃい自分だと、ただ嫌だという記憶で止まっている。
大人の自分だと、意思表示ができる。嫌だと言えると思える。

「無敵な気分になった」

どんなふうにでも変えられるし、どんなふうにも対応できる。無敵。


幼い頃のトラウマで体に不調を抱える人は、10人に1人。
トラウマの治療を安心してうけられる世の中にすることが求められている。


以上。

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番組内で登場した専門家は以下の方々です。

ヴァン・ダー・コーク van der Kolk

ボストン大学医学校の精神医学教授。
半世紀近くにわたり 世界のトラウマ研究を牽引。
Bessel van der Kolk - Wikipedia

デブラ・ウェッセルマン Debra Wesselmann

アメリカ、ネブラスカ州 愛着・トラウマセンター所長、心理療法士
(The Attachment and Trauma Center of Nebraska)
Home - The Attachment and Trauma Center of Nebraska - Omaha, NE

兵庫教育大学教授 臨床心理士 市井雅哉さん

http://hute-rd.hyogo-u.ac.jp/profile/ja.I3rrFXiGxDer6cnNuT.7nA==.html

臨床心理士 大塚美菜子さん

カウンセリング | 本多クリニック

NHK教育テレビのETV特集「トラウマからの解放」を見て当院へ問い合わせをされる方が増えています。よくある質問に対する答えを書いておきますので参考にしてください。問い合わせも多く、予約が取りにくい状況になっていることもご了解ください。